ソフトウェアがどう動いているかなんて関係ない。重要なのは、ユーザーに何をもたらすか、だ。……ごもっとも。しかし、技術が世の中を前進させることもあります。ここではTopoのベータ版に興味を持ってくれたあなただけに、その技術的な仕組みについて共有します。
Topoは実在する街の上に「新しい情報レイヤー」を作り、iPhoneでアクセスできるようにするソフトウェアです。ネット上に地域ニュースは溢れかえっていますが、大抵それらはWebの公式情報であったりSNSでの話題だったりするため、場所や日付の情報が曖昧で、「中目黒2丁目周辺の今のニュースは?」という単純な要求に即座に応えてくれるサービスは皆無です。
Topoの情報レイヤー基盤「Town Watch」は、ネット上の地域ニュースを毎日収集、解析、分類、蓄積しては地域のバイタル(生命情報)を観測しています。元々は全国8都市に毎日配信している「Topoのタウン予報」を作るための仕組みとしてコーディングAIと一緒に開発していますが、その開発の過程で、タウン予報以外にも地域ニュースを届ける仕組みが、AIとの対話の中で半ば自然発生的に生まれてきたのです。自分はそのAIの逸脱行為を面白がりました。そうしてできたのがスカウターです。
Town Watchは収集したニュースに対して「日付はいつか」「場所はTownWatch想定地点に含まれているか」「ニュース元URLは確かか」といった検査を行い、情報をスコアリングします。スカウターは、スコアリングされた情報と街のバイタルをTownWatchから受け取り、それをカードにまとめて地域に再配置する役割です。
これは情報レイヤー側で起こっていることです。iPhoneアプリケーションであるTopoは、その結果をユーザーに表示するだけでした。そこでVer. 1.1ではスカウターとの接触を試みることにしました。
具体的には、ユーザーがTopoを起動すると微量のシグナルが発せられます。もちろんシグナルを発したことは誰にも知らされず、スカウターだけが受信できます。さらに場所にカードを公開すると、強いシグナルが発せられます。スカウターはそれに反応して、その場所の情報をTownWatchから取得し始めます。これがスカウターが言うところの「観測」です。
強いシグナルが継続的に発せられると、重点地区としてニュースの生成を試みます。重要地点として観測を強め、上手くいけばカードを生成します。情報を適切な場所に届けるのが役割なので、シグナルを発したユーザーを「街の貢献者」として称えてくれます。
今回、地図上には公開カードやスカウターの居場所が「熱量(ヒートマップ)」として可視化されるインフェースを実装しました。私が知りたいのは、ソフトウェアが正しく動くことも去ることながら、**「Town Watch、スカウター、そして人間のシグナルというこの舞台装置が繋がったとき、現実の街に何が起きるか」**です。
日本全国で、あるいは海外で、果たしてスカウターは正しく駆動し、情報を適切な場所に再配置してくれるか。この、AIとの対話から始まった都市観測の実験に、ベータテスターとして、あなたの街からシグナルを送り込んでみてください。